誰も守ってくれない(ネタバレあり)

序盤から泣きっぱなしだったんだけど、それって単に志田さんの境遇が可哀想だからだなって思った、冷静になると。兄が殺人犯で母は死んで父は兄を押さえつける存在で、今まで当たり前だった家族はばらばらになって。マスコミには追い掛け回され彼氏には騙されて。それでも兄を恨まないのは何でかなって思ったら彼女には負い目があったと終盤で判明する。それでも「お兄ちゃんを待っててあげようよ」って云えるのは強いな。
主題は犯罪加害者の家族の保護で、作中でも何度もその是非を突きつけられるシーンは出てくるんだけど、とにかく志田さんの境遇の悲惨さに目がいってしまって、主題を意識して映画を観続けるのは困難だった、私には。
あとネット掲示板の醜悪さがこれでもかと表されていて痛かった。好奇心があって情報があって英雄願望や正義感、とにかく騒ぎたいっていう連帯感、そういうものがあってなおかつそこに場があれば、他者を傷つけることを横においてでも盛り上がってしまうことを、醜いと思ってもとめられないし当人たちもその舞台から降りられないんだと思う。今回は加害者,加害者家族に関してのみ描かれていたが、ネットにあることないことかかれるのは被害者,被害者家族ももちろん同様で、もう事件に関わってしまうこと自体が手酷いアクシデントで罰ゲームだ。家族自身は何もしていないにも関わらず突然降りかかる、理不尽な罰ゲーム。
マスコミって正義なの?ネットって正義なの?そもそも正義なんてあるの?というようなことを考え続けた2時間でした。録画したままのスピンオフをこれから観ようと思います。