裏切りのサーカス(Tinker Tailor Soldier Spy)

TTSS観てきた。バッチさん経由で興味持った映画だったけど、映画自体がすごい面白かった。画面がいちいち美しかったし、キャラクタも魅力的。アクションのないスパイ映画ってメリハリとしてどう?って思ってたけど全然!まったく飽きない二時間だった。久々にパンフレット買ったよ。(ほぼ明確なネタバレをしておりますので(いやーわかるだろこれはいくら名前を伏せたってレベル)観賞後に開くことをお勧めします)。あ、もちろんカンバーバッチさんは素晴らしかったです。スマイリーとお酒飲むシーンにきゅんきゅんしたぜ!amazing!
以下雑感。もぐら以外はネタバレばっかり注意。

  • 最初に告白しますが、渦中の四人をイマイチ見分けられませんでした。辛うじてヘイドン、アレリンは識別できたかなー程度。なので伏線を拾いきれず、犯人探しは途中で投げました。群像劇として充分に堪能したが、もう一回は観たい、ぜひとも。
  • あの徹底された映像美には恐れいった。登場人物たちの纏う地味だが人物を引き立てるスーツ、色調を抑えた画面、小物に至るまでの管理徹底っぷり、すごい。
    • ギラムがスーツをぱりっと着こなし目を惹く色のタイや洒落たベストで若さを表現してみせたのに対して、ターのラフなファッションは内輪の道から外れてしまったアウトローであることを強調する。
    • 一番ぐっときたのは終盤、もぐらが射殺されるシーン。視線が絡んで次の瞬間には目の下にぼつっと黒点、次いで涙めいた血液。うっわ、スタイリッシュ!
  • 随所に差し込まれるパーティーシーン、切ないわー。
  • コントロールが素敵じじいすぎて大好きになってしまって、もっと出番!ってなった。
  • ギラムは憧れの大先輩から「あれやって、次これ。あ、露見しても庇えないから」とまるですまながることなくお願いされて、けなげに応えて、あげく情報を共有させてもらえず、わけありな部下のことばっか庇うしでしょんぼりし、「君にだけ打ち明ける過去話」で懐柔され、しかし次の瞬間には身辺整理を余儀なくされ、もうほんとにわんこのようでした。かわいいよ!ラストの視線を交わすシーンだけできっと君は満足なのね!
    • お酒に誘ったスマイリーにはねぎらいと懐柔のほかに、あそこで感情を爆発させ「仲間を探らされたんだぞ!」と口走れる彼に対する賞賛や憧憬もあったのではないかな。口にはだせないものね彼は。
      • (これ本編とは関係ないんだけど、資料室で受付嬢に対して見せる愛想笑い。あの表情がすごい好き。困ったように下がる眦と不自然にあがる口角。私バッチさんの下がる眦(および目元のしわ)がたまらないんだよねー、愛想笑いでもきゅんと出来ちゃう)。
  • リッキー・ターのあの爽やかな傲慢さ!恋ってさぞや素晴らしいのでしょうね!みたいな。「あんたたちのようにはなりたくない」って、云っちゃうんだ。上司および上司の上司だぜその二人。
  • ジム・ブリドーは物語的には美味しく、かつ辛い役回りで。彼に銃を持たせたのは怒りではなかったよね、きっと。
  • そしてそして、ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)!抑制の効いた演技で淡々ともぐらを割り出してゆく、地味な役どころなのにもうものすごくかっこいい。渋いし。
    • 最後に妻が帰ってくるところの柔らかな喜びの背中もいい。骨抜きです感がありありで。
    • 平泳ぎのシーンの含意はもちろんよく判るのだが、それよりあれが池なのかプールなのか気になって気になって。
    • 序盤の眼鏡を作り変えるシーンが素晴らしかった!サーカスから切り離され、またサーカスを自身から切り離した私。
      • そしてその眼鏡のままサーカスの中枢へと舞い戻るのです、たまらん。

もう一回云うけどすごくよかった、面白かった。監督のほかの作品も観たいです、ぜひ。