6月23日-7月4日

幻想運河 (講談社文庫)
ひっじょーに有栖川らしい幻想小説。(は?これ、ミステリ?みたいな)
幽霊刑事 (講談社文庫)
こっちはなかなか。キャラ立てが上手い。ミステリ部も(やや弱いが)こじつけだろ?という部分がなく、安定したミステリといった感じ。ただ、最後の数ページは作品上の意図で空白が続くのだが、その最終ページに「著者の意図するものによる〜」という注釈が入っていたのには辟易。興醒め。仕方のないことだとは思うが、そこまで読者に阿らなくとも…。あの数ページを著者の作為と気づかぬ人間が果たして何人いるというのか。
みずうみ
雰囲気はたまらなく好きだけどここまで観念的・幻想的になられると正直頭の中で映像が浮かばない。結果、必要以上にふわふわした気分での読了。
悪人
面白く読めた。こういうエンタメ色の強いのも書けるんだ吉田修一。ただ、吉田である必然性はないかな。数段どぎつく抉り出すように、たとえば桐野夏生なら書くのだろうし。こんな使い古されたモチーフで、吉田らしさを感じないのは、ただ単に彼の文章が苦手だから?
ダーティ・ワーク
連作短編集。随分あっさりとした出来。ところどころに絲山らしい文章は現れるが正直ピンとこなかった。