12月17日-12月27日

神田川デイズ
あるある学生小説。どの短編でも生命力あふれる描写をされてきた女の子の弱さを描いた「花束になんかなりたくない」が秀逸。あと「どこまで行けるか言わないで」の三人が切なかったなぁ。
居眠りキングダム (コバルト文庫)
浅いなぁ、残念。野梨原さんの勢いのある文章も語る中身が浅いとつっまんないんだなぁ、残念。
カツラ美容室別室
あー面白いな、と、素直に。この人独特の文章の書き口が多分苦手なんだけど(映像的というか、本筋と関係ないことまで細かに細かに描写するところが)今回はお話が面白かったので難なく読めました。前二作との違いは、何だろう、やっぱりキャラクタへの共感?

男女の間にも友情は湧く。湧かないと思っている人は友情をきれいなものだと思い過ぎている。友情というのは、親密感とやきもちとエロと依存心をミキサーにかけて作るものだ。ドロリとしていて当然だ。恋愛っぽさや、面倒さを乗り越えて、友情は続く。走り出した友情は止まらない。

これには大いに共感。ただこれは物語の核というかそのものなので、それをそのままごろりと出してしまうところに危うさを感じたり。逆にそこが魅力なのだろうけども。

氷菓 (角川文庫)
今更ながら古典部シリーズを頭から読もう計画。思っていたよりも随分と千反田が折木を特別視しているなぁ、と。あとなんだかんだと自分に言い訳しつつ謎解きする折木は案外かわいいなぁ、と。日常の謎系の良いところは第一に人の死なないことで第二に読後感が良いという認識を持っていたのだけど米澤にがつんとやられたおかげで第二に関しては眼が覚めました。本作の最後のブレイクスルーの衝撃はかなりのものだと思う。
愚者のエンドロール (角川文庫)
古典部シリーズ二作目。前作の端役をがんがん再登場させるので気が抜けませんね。「クドリャフカ〜」から読んだので、あああの人がああでこう繋がるのね、とやっと判りました。もっかい読もう。あのシンプルな謎の提示で一冊(二百ページ強)をもたせるのだから恐れいります。折木にも欲や自尊心があるのだなぁというごく当たり前のことを丁寧に描いてくれて物語的にも面白かったです。