2月2日-3月8日

有頂天家族
たぬき!たぬき!!というわけで狸でサーガなお話なのです。面白かった。森見さんの作品を心底面白いと思ったのは本書が初めて。キャラがたっててスピード感があって暖かさと面白み策略と駆け引きがある。まぁこれって云ってしまえばラノベ的な面白さなんでしょうね。続編も刊行予定とのことで楽しみです。
渋谷に里帰り
オシゴト系青春小説ってことで読み始めたらオシゴト系ちゅうよりヒキツギ系でした。構成とか文章とか初期の熱を残して上手くなっているとは思うのだけど、「凸凹デイズ」に感じたあのあっつい感じはない、ちょっと寂しい。でもこのほのかなあたたかみを残す読後感はやっぱりたまらないのです。
ちんぷんかん しゃばけシリーズ 6
なんかようやく図書館に戻ってきてたので。人情ほろり系から人間の薄暗いとこまで描いてなおかつテーマを持たせて連作短編集にするって実は結構器用なことですね。これだけ巻が進めばなおさら。キャラ萌えばっか(特に鳴家に)だったことにちと反省。んまぁでも、ほっこりするよね鳴家。
黒猫・黄金虫 (新潮文庫)
元祖推理小説のポーです。「黒猫」のラストはシンプルながら最高に鮮烈。「黄金虫」の探偵役の奇異な振る舞いとそれに振り回される(本人は)冷静な(つもりの)助手という役どころは今や探偵小説のスタンダードだし、「アッシャー家の崩壊」「「ウィリアム・ウィルスン」の神経病みの鬼気迫る感じもすごく良かった。そしてそして、一番良かったのは大渦に巻き込まれた一夜を描いた「メールストロムの旋渦」。情景がありありと浮かぶ筆致に圧倒!難点は翻訳の調子に合わせるのに多少時間がかかったことかな(なんせ短編集ですから)。
800 (角川文庫)
こんな高校生居るんかい?と云ったらだめ?そういうことじゃない?エンターテイメントとしても私はイマイチ楽しめませんでした。もうちょっと陸上ありきな話だと思ってたので。
死が二人を分かつまで (3) (ウィングス文庫)
実に二年ぶりの続刊。読了はしたんですが、何せ前作までのあらすじを忘れてしまったので感想は再読後に。文章面ではやや描写がくどかった気がしました。
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫) [isbn
4488451020:title]:そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を。お前はほんとに小市民の星とやらを掴みたいのかと小一時間(略 なシリーズ。「夏季〜」がきっつい終わり方したのだけど、どう続けるんだろう、気になります。あ、内容は(もちろん)端正なミステリ短編集です。おいしくいただきました。
ハサミ男 (講談社文庫)
積読の山から。自殺マニアな殺人犯ってのはかなりインパクト強い。鮮やかな裏切られ感も爽快で、スタンダードな推理小説
猫と針
恩田陸の初戯曲。あーうんものすごく恩田陸。もう手癖がついちゃってんだろうね。相変わらずのわくわく感と失速感、ある意味たまりません。
だからドロシー帰っておいで (角川ホラー文庫)
積読の山から。タイトルにめちゃめちゃ惹かれてホラー苦手なのに買ったのは憶えてる。そしてホラー苦手だからずっと積んでたという不遇の一冊。「オズの魔法使い」をモチーフにグロテスクな異世界と現実が交錯するファンタジーホラーでした。おもしろい。すっげーステレオタイプなキャラクタがこれだけ生きるんだっていう驚きと、グロテスクゆえにぎらぎらと輝く異世界が魅力的。
恋のかたち、愛のいろ
恋愛アンソロジー。なんで恋愛アンソロジーって不倫や浮気の話ばっかなんだろう。ヴァシィ章江「号泣男と腹ペコ女」はぐいぐい読ませて面白かったけど、基本的に不倫や浮気の物語ってつまんないと思う。メール時代のすれ違いを描いた角田光代「地上発、宇宙経由」はさすがの完成度、朝倉かすみの「掛け星」は作者のメロウな書き口と話ががっちりあってて懐かしいような切ない気分になった。畠中さんの現代物はやっぱり・・・な出来。時代物は結構いいのになぁ。