4月17日-5月3日

千年の祈り (新潮クレスト・ブックス)
三回くらい貸し出しを延長してもらって(超迷惑)読み終わりました。おっもしろかった!翻訳物でここまで上手いなと思ったのは初めてかも。短編集なんですが、それぞれバラエティに富んでいて、どれもすごく読ませる。非常にドライな現実を描きながらどこか幻想的な雰囲気を漂わせていて、いい。特に好きだったのはゲイの青年を巡る二人の男女を描いた「ネブラスカの姫君」,故郷に留まりかつての恋人と友人の二度の裏切りを思う「市場の約束」(ラストシーンの美しさったらない)。
Re-born はじまりの一歩
「はじまり」をテーマとしたアンソロジー。伊坂は相変わらずの安定打率、豊島さんはちょっと通俗的すぎるかなといった感じ。全体的にレベルは高かったがその中でも中島京子の「コワリョーフの鼻」は出色の出来。いきなり時事ネタの食肉偽装・賞味期限改ざんから始まって延々鼻の話が続くのには面食らったけれど、話運びや落とし方がかなり上手くて大満足。他の話も読んでみたいな。
タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)
フレンチのビストロを舞台にした「日常の謎」物。ちょっとあまりにも型がかっちりしすぎていて窮屈な感じ。お店の雰囲気や文章全体の感じはすごくhappyなんだから解く謎ももう少しhappyなものでもよかったんじゃ、とも(まぁこれは私の好みの問題)。あ、「理不尽な酔っ払い」のトリックはすごく好きでした、思わず微笑。