2月11日-2月22日

城の中の城
キリスト教のお話という点に興味を持って手にとったが、いかんせん前書きにあたる「人間の中の病気」がとっつきにくい。が、そこを抜ければ軽妙な会話のなにやらゴシップめいたお話が展開され始めにやにやと読了に至ったのでした。反キリスト教を掲げ、無断で洗礼を受けた夫へ棄教もしくは離婚を叩きつける主人公の桂子さんは勇ましく、もちろん美人で頭もいい(ついでにお金持ち)。結婚前の元恋人・耕一君に愛情ではなくシンパシィを感じており、しかし夫君はいささか頼りない風情だ。周囲の人々の個性も強烈で、話は反キリスト教を軸に知識人層の日常を通した心情の揺れを描いている。いささか下世話で楽しい娯楽小説。宗教が悪だとは思わないし病気だとも思わないけれど、布教に歩く人々が病的であることには大いに同意だ。
見えない都市 (河出文庫)
マルコ・ポーロフビライに都市の幻想を語り続けるお話。どんどんフビライがマルコになびいていくのが面白い。前半が妙にとっつきにくくて全然情景を想像できなくてどうしようと思ったけれど読み続けるうちにマルコマジックに私もはまりました。そのうち再読したい。