2月23日-3月7日

光車よ、まわれ! (fukkan.com)
読んだのは筑摩書房版です。挿絵がむやみに怖い。悪の組織がお互い結託して主人公たちを狙うとことか、悪の組織たちが守っているものが判然としないとことか、なんかこうむやみに理不尽な世界が不気味なリアリティを伴ってぐわんぐわんする感じ。すごく文の終わり終わりを意味ありげににごらせておきながらあんまり伏線を回収しないのが気持ち悪くて余計ぐわんぐわん。

 あーこの話は思春期のうちに読みたかった。今の私ではただちょっと不気味な話、練れてないけど。で終わってしまう。それでも惹かれるもやもやを無視したまま。
教科書に載った小説
教科書に載った小説アンソロ。メジャーどころばかり載るのかしらと思ったらぴりりとした掌編ばかりが12編。よい出会いでした。少年期の終わりを描いた「少年の夏」(吉村昭)がすごく良かった。色彩が綺麗で重苦しくてなにかがせりあがってくるような。
レギ伯爵の末娘 〜よかったり悪かったりする魔女〜 (よかったり悪かったりする魔女シリーズ) (コバルト文庫)
シリーズ一作目。魔女見習いが魔女らしいことをするために街で噂の伯爵家令嬢の元へ。凛々しい令嬢には秘密があって・・・?!的な。野梨原さん大好き。以前二巻だけぽっと読んだときはイマイチかもと思ったんだけどやっぱり前提大事。アザーなんか不審という印象があったんだけど一巻読んでも不審でした。これを機にシリーズ読破したいな。
呪われた町(上) (集英社文庫),[isbn
4087600874:title]:「血界戦線」(内藤泰弘*1でオマージュされてるってきいて。プラス、吸血鬼たまらんハァハァっていう不埒な気持ちで読み始めたんだけど超面白かった!読みやすいよキング!閉鎖的な片田舎で密かに吸血鬼化してゆく人間たちっていうすごくオーソドックスな展開なんだけど、登場人物たちの日常が丹念に描写されていることと相まってその変化がたまらなく切ない。キャラハン神父なんかその極みだ。(彼が血の誘惑と戦うところ、残酷なことながら読んでみたかったな)。エピローグで吸血鬼殲滅のために一度は逃げおおせた町に戻る二人にほろり。

 それにしても誰が考えたのか知らないけれど、招かれなければ部屋にあがりこめないという設定が秀逸すぎる。これがすごいドラマを生んでる。この作品では吸血鬼は感傷せず吸血行為に躊躇したりはしないので、いかに騙し討ちで入り込むかという知能戦がスリリング。まぁ大体みんな生前の情に漬け込んで入り込むんだけど、読んでるこっちとしては志村ー!後ろー!みたいな。大体なにが起こるかわかっているのに招いてしまう人間の心情も判るから余計切ない。

 あーたまらないな。屍鬼再読したい、がっつり。*2

*1:集中連載お疲れ様です。読み足りないからぜひ通常連載で!

*2:いうまでもないけど「屍鬼」(小野不由美)もこの作品をオマージュしてる