5月20日-6月4日

f植物園の巣穴
梨木さんの新作。非日常の扱いは私的には「家守綺譚」程度がベストで今作は若干アクロバティックだったな、と。(常に片足が現にあって片腕が異界に入り込んでいるぐらいが好みです)。だから序盤〜中盤はちと退屈だったけれど、物語が動いた終盤は反動がついてぐいぐい読めた。物語が一点に集約されていく気持ちよさはたまらない。相変わらず品のよい、心地よい文章だった。
冠・婚・葬・祭
短篇集。「コワリョーフの鼻」で感じた衝撃は薄まったけれど、やはりこの人、読ませる。お見合いの顛末を描いた「この方と、この方」の話運びが特に好き。
作家のおやつ (コロナ・ブックス)
富山の月世界というお菓子が大層おいしそうでありました。映画監督に漫画家、作家。こもる作業を必要とする人間には自然と手がのびるお気に入りのお菓子が必要なのだな、と。
工場猫物語
地域猫は一代きりというルールにはっとした。管理する人間がいてこその発想。でも共存のためには色々なルールがいる。すべての猫を飼えるわけではない。もやもやとするけれど、それが現実。
THE DAY Waltz (ザ・デイ・ワルツ) (1) (ウィングス文庫),[isbn
9784403541247:title]:お家騒動で軟禁中の少年と禁書に封じられた青年が繰り返されるある一日(the day)に挑み、禁書の奪還に励む話。とにかく主人公の少年パウロのイイ性格がすんばらしいです。クソ生意気なガキ、大好き(ただし二次元に限る)。テンポもいいし、the dayの人々に愛着を持ちつつあるパウロの苦悩も大変おいしい。