7月3日-7月15日

リテイク・シックスティーン
高校でできた友人から打ち明けられた秘密。「あたし、未来から来たの」。
 よかった!短編が光る印象があったんだけど、この長編、すごくよかった。現時点での集大成だと思う。甘酸っぱさも情けなさも切なさも、彼女が描き続けてきた青春のすべてがここにある。
 もう戻ってこないの?豊島さん。待ってます。あなたの書く青春物ではない小説を私は読みたいです。
ヤングアダルト パパ
14歳のパパと生後五ヶ月の息子の話。ほっこり路線にやるせなさをまぶして、という山本節。もちろん嫌いじゃない。似た環境の親子(ただしパパの対応は真逆)を知っているので余計に、静男の凛とした決意が胸を打つ。そして彼の家事能力(および育児能力)の高さに慄いた。強い、強いぞパパ。現代社会ではファンタジーかもしれないが、これからも一緒に暮らしていけることを祈って本を閉じた。
いのちの食べかた (よりみちパン!セ)
屠殺を軸にしたいのちと偏見のお話。大切なことは「知ること」なんだ。って、森さんは云う。それって難しいことだ。ベルトコンベアで処理される牛の解体の過程を眉を寄せながら読んだけれど、だからと云って菜食主義者になるわけではない。他者の痛みの上に生きていることを実感として知るのは難しい。知ることは勇気と覚悟がいる。
悲しい本 (あかね・新えほんシリーズ)
絵本。これは悲しんでいる私だ。という書き出しから始まる。添えられた絵にはにっかりと笑う老人。ずしんときた。