10月7日-10月28日

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)
初・志賀直哉。目当てだった「赤西蠣太」のお話然とした感じも好みだが、「佐々木の場合」「流行感冒」の日常の描写がほんとにいい。「転生」のキュートさも捨てがたい。さっぱりとしていて読みやすく、さらにあたたかい情感がある。
ダイナー
毒々しいハンバーガーが表紙の、殺し屋ばかりが集まるダイナーのお話。店長はなぜ客の個人情報を急にヒロイン(ヘマをして殺されそうなところを買われた常に(命が)崖っぷちなウエイトレス)に語りだすのだ説明口調で、という疑問を当初は持ったのだが、ただ単純にエンターテイメントとして面白いので最後にはそれすら味かな、と。オールステレオタイプで最後まで突っ走るのに最後まで面白かった、ご馳走様です。
いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)
いまさらながら。肥満体から標準体型になった経験のある人には「あるある!」なことが延々と書かれていて頷くことしきり。私も去年の夏からダイエット中なのだが最近心構えが中だるみだったので、活を入れる意味でもいい読書だった。
私の家では何も起こらない (幽BOOKS)
ゴシック・ロマンな幽霊屋敷綺譚。記憶と知識と怯えが惨劇を生むよ、という一つの典型を描いた「俺と彼らと彼女たち」が大層キュート。
ノン+フィクション
エッセイと旅行記のあわいの短編集。すごく・・・古川日出男です。品川駅から一キロ圏内を描いた掌編「たった一キロでできること」が好き。