11月12日-11月25日
- ピスタチオ
- 帯の
物語の水源へ
というのが云いえて妙だな、と思った。ライターとして筆をとってきた主人公がアフリカへの取材を経て物語を書くというストーリー展開。前半の文は少々エッセイめいた書き口で、著者のエッセイが苦手な私はちょっと身構えながら読んだけれど、その"経験"を経て書かれた"物語"はとても好き。 - ティッシュペーパー・ボーイ
- 勝手に硬派な純文畑の人だと思い込んでいたのだけれど、本書は軽めのポップなお話。5編中4編が恋愛の話で何かしらの形でセックスが出てくるのだが、「体を開く」っていう表現がエロいなって初めて感じた。あ、話のトーンはほっこり系です。
- 白いひつじ
- 出生の秘密、親探し、兄の面影。モチーフは確かに長野まゆみ。状況把握のできないまま周囲に翻弄される自分はしっかりしているつもりな主人公もそのまんま。でもこの話、ラブコメなんです。読み終わって吃驚した。もう少し通常路線かラブコメのいずれかに寄っていただけると読みやすいと思うけど、新鮮ではあった。
- オー!ファーザー
- 帯の
「えっ、これも伏線だったの?」
が完全に蛇足。そんなこと書かれたら身構えるじゃんねー。というか本書には伏線らしい伏線しか出てこなかったように思うのだが。新聞連載をまとめた本ということで、なるほど、これでもかというジャブ。一気に読むと若干胸焼け気味だがこれを毎日読めた人は楽しくてしかたなかっただろうなぁ。 - 学問
- 女子の性の目覚めから成熟へ至る過程を描いた物語。ああ、これは山田詠美が書くべき話だよなぁ、確かに。「放課後の音符(キイノート) (新潮文庫)」*1と比べると野暮ったくて泥臭いけれど、年をとったからこそ書けた話なのではないかと思う。
- 騙し絵の館 (創元クライム・クラブ)
- 倉阪さんとの出会いがバカミスだったのでついついそっち方面を期待してしまうのだけど本書はわりと正統派なミステリ。幻想的な雰囲気おいしいです。でも結末に意外性はないよね、という。
*1:私の中では恋愛小説不動の第一位