11月26日-12月9日

ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ
九人の作家による源氏物語。モチーフ創作が主かと思ったら結構まじめに訳している作品が多くて肩透かし。角田光代の「若紫」と桐野夏生の「柏木」、小池昌代の「浮舟」が良かった。
霊応ゲーム (Hayakawa Novels)
ヤンデレ小説として名高い本書。わくわくしながら読み始めると、舞台はイギリスの全寮制パブリックスクール、真面目で気弱な少年・ジョナサンとカリスマ一匹狼・リチャードの心の交流がいつしか変質していって・・・。なにその美味しい設定。で、その美味しい設定がすんごい勢いでヤンデレ化してゆくという。ジョナサンの親友・ニコラスに超感情移入してしまった。読後しばらく毒気が抜けず。
愛についてのデッサン―佐古啓介の旅 (1979年)
若き古本屋店主の愛と成長を描く連作短編集。三十年ほど前の作品だけどまったく古さを感じない。ほどよく品よく、静かな青春の話だ。残りの人生を読書にかけるために離婚したと嘯く老人との会話が印象的な表題作は過不足なくまとまって出色の出来。女子大学生との交流を描いた「本盗人」の爽やかさと苦味も捨てがたい。
シェイクスピアを盗め!
孤児の少年ウィッジの冒険小説。お約束のオンパレードで結末まで容易に予想できるのに、主人公と一緒にどきどきしてお約束の展開に驚ける、素敵なお話だった。訳者の方(安達まみさん)の語り口がまたいいんだ。続編があるらしいので次はそれを読む予定。