1月1日-1月5日

闇の喇叭 (ミステリーYA!)
注意:結末に触れています。

 もし太平洋戦争の終結が一ヶ月延びていたら、という設定の社会派推理小説。有栖川さんのジュブナイルは子どもがとても聡明で心地よい。息苦しい社会に反発を抱きながらも、その枠の中で生きていくこと自体に疑う余地はない。社会の制度ゆえに両親と引き離された少女は、ひとり、社会と戦う決意を固める。終章がすごくいい。特異な社会制度、キャラの立つ警官に大掛かりなトリック、引き裂かれる親子。なんだかぼんやりとガラス越しに眺めていた世界が終章でさっとクリアになる。彼らの悔しさや悲しみが急に胸に迫って我が事のように感じた。
貴族探偵
もうタイトルだけでわくわくするじゃない?貴族探偵!装丁も素晴らしい。事件と美女の居るところ、彼は現れる。推理をする人があれよあれよと増えてゆきついには三人。でも探偵は彼。様式美の世界、大変よろしゅうございます。ヒントはすべて開示され、ちゃーんと解けるようになっているのだがそこは麻耶さん。「こうもり」にはやられました。