7月3日-7月13日

塗仏の宴 宴の始末 (講談社ノベルス)
話がどんどん膨らんで京極堂の針ではじけました。悪趣味な事件だった。関君の精神が心配です。こちらに戻ってこれるのかしら。どうやら私は関君を主役にすえて京極堂シリーズを読んでいるらしい、ということを思い知らされた宴でした。
お菓子手帖
長野さん思い出を語る、お菓子と共に。これはエッセイ?それともフィクション。100%実話だとすれば、よくもこれだけ食べ物と思い出が直結しているものだ、と感心してしまう。(フィクションであれば、実話と思わせるそのさりげなさに感心)。妹さんの千歳飴のエピソードが好き。
パレード
吉田修一初期作。軽妙で練れていない観念的な言葉がぽろっっと出てきたり、若さを感じさせる文章。その分、勢いはある。こんな軽妙に人間を描写できたんだ、と意外に思いつつ読み進めると、最後にとんでもない落とし穴。やっぱり吉田修一だった。結構好きだな、これ。
 余談。すっげ映像向け、と思って調べてみたら来年映画公開予定*1とのこと。直輝のキャストは私のイメージとは違うが、琴美が貫地谷さんというのはすっげ適任!と思う。機会があれば観にいきたいところ。
ヘブンリー―あなたに腹が立つ (コバルト文庫),[isbn
408600612x:title],侯爵夫妻の物語―よかったり悪かったりする魔女 (コバルト文庫),僕に捧げる革命論 (魔王シリーズ) (コバルト文庫):野梨原さん4冊。
 「ヘブンリー」はシリーズ化の予定が上下巻で完結とのことでやっつけ感が正直否めない。そこもここも膨らませそうなのに!っていう、ちょっと惜しい読後感。
 「スノウ〜」「侯爵夫妻〜」はシリーズものの3巻と6巻。相変わらずすんばらしい大団円!全編通して云えることはあんなにかわいい女のこたちがいるのにヒロインはアザーってことです。
 「僕に〜」は魔王シリーズ3巻目。魔王とスマートは痴話げんかで事態を悪化させているのだから完全に自己責任だと思います。毎度毎度召喚された先で恋愛相談しちゃうのはお決まりなの?毎度毎度の割れ鍋に綴じ蓋カップルなのがたまりません。
にょっ記
妄想日記(?)。相変わらず、穂村弘である。どうしようもなく心を打った一日を引用。

10月15日  我が性欲
電車のなかで、あたしのなかではナンバーワンだから、という声が耳に入った、瞬間、激しい性欲にとらわれる。
その声のひとを押さえつけて、耳のなかに舌を差し入れながら、何がナンバーワンなの、と囁きたい。
それは日本製?それは人間?

カイシャデイズ
店舗の工事を行う会社・ココスペースを舞台にした短篇集。(身も蓋もない題名である)。ややデフォルメされたキャラクタが非常に心地よく素敵にエンタメなのですが、山本さん、この路線に定着していいの?泥臭くやややるきなくのち笑顔。ここ最近はそんな会社小説ばかり書いているように思われます。あと気になったのは高柳さんの4人目の女神(=現妻)が全然省みられていないこと。もう少し描写してあげて!
向田邦子の恋文
他人同士が交わした恋文を読むなんて少し後ろめたい。恋人宅に泊まらない向田さんの矜持がまぶしく、せつない。