4月23日-5月6日

長い廊下がある家
火村シリーズ最新刊。装丁・装画が不穏に美しくて好きだ。内容は折り紙つき。いつもとパターンの異なる「天空の眼」が苦いながらも新たな読後感で嬉しい。しかし、巻を増すごとに火村がリリカル気障に磨きをかけていっている気がするのは気のせいかしら。
チーズと塩と豆と
ヨーロッパの田舎・食べ物がテーマの競作集。角田・井上・森・江國って狙いすぎで鉄板すぎる。四人ともそれぞれお得意の空気感で見事な四編。逼塞した田舎のぬったりとした空気が印象的な角田さんの「神さまの庭」が一番好み。
眠り姫とバンパイア (ミステリーランド)
死んだはずの父親が私に会いにやってくる・・・。ホラーではありません。落としどころはそこしかないよなぁ、という。拍子抜けするぐらい優しい視線で描かれたミステリ。
迷宮逍遙
ミステリの文庫解説などを中心にまとめられたエッセイ集。ネタバレだめぇぇ!と思うと半分も読めないので注意。一冊読み終える頃にはどうしても鮎川哲也が読みたくなる洗脳エッセイ集である。