5月7日-5月12日

孤島の鬼 江戸川乱歩ベストセレクション(7) (角川ホラー文庫)
主人公は恋人を殺され友人の探偵をも亡くし、己に好意を寄せる同性の友人と共に悪の根源の膝元へと乗り込むのであった・・・、という前半・探偵物,後半・冒険物。同性の友人であるところの諸戸君が全ての不幸を一手に担い、事件解決に至ったのちは、まるで形代のようにして亡くなってしまう。もののあわれを感じます。(主人公は彼の自分に対する好意を知りながらそれを利用しつつも自身からは何一つ与えない悪魔のような男、と思えなくもないBL的には)。あ、お話的にはいつもの乱歩です。彼のエログロってすごく心地よい匙加減、ドぎつすぎず、そこそこ大衆向け。今までハズレをひいたことがなく、大好きな作家。
玩具(おもちゃ)草子
そういえば読んでなかったエッセイ集。妹さんがラテン好き、という愛情ある文章の「世界こけし」がすき。うすーい本でページの半分近くを長野さんの端切れコレクションに割いているのだけど、必見なのは巻末のcaptionだ。こんなにくだけた彼女の文章はそうお目にかかれるものではない。(エヘンとか、吃驚だよ)。
夜の欧羅巴 (ミステリーランド)
初・井上雅彦。ちょっと詰め込みすぎじゃね?というのを除けばジェットコースター級の冒険小説で大変愉快な旅だった。巻末のあとがき「わたしが子どもだったころ」も非常に感じがよく、素敵。