10月8日-11月10日

作家の口福 (朝日文庫)
食べ物エッセイ集。食べ物エッセイって読み手の好悪がはっきりとでるな、とか思いながら読了。江國香織の四篇はどれも非常に好ましかった。小説未読の作家さんでは津村記久子が光っていたので、次回は著作を読みたいところ。
ビールと古本のプラハ (白水Uブックス―エッセイの小径)
プラハ、ビールの美味しいプラハ。世界史的な紆余曲折がさっぱり頭に入っていないので若干読み飛ばした部分もあるが、とにかくビール美味しそう。
馬たちよ、それでも光は無垢で
春先の震災の話。彼が福島出身者なのだということを、ともすれば忘れがちだったが(聖家族を読んだ後でさえ)、春先の震災を経て、「立ち上がる作家たち」といった枠で名前を聞くことが多くなった。新聞で見聞きする彼はなんだかとても怒っているようで、その怒りをどのような形であれ受け取るのはしんどいなと今まで読めずにいた。
 でもそれは誤解だった。古川日出男は怒っていたのではなく、困惑し激情し、自身の胸の裡と向き合っていたのだった。私たちは憎まず、ひたすら歩くしかない。徐々に物語が立ち上がってゆく過程はスリリングだ。次の作品を早く読みたい。