11月18日-11月30日

建てて、いい?
独身女性が家を建てる話。薀蓄云々の情報量が多く、また咀嚼しきれていない感じがしたが「漢方小説」よりははるかに上手くなっていて、感心した。夕飯を食べながら理想の家のディティールを立ち上げてゆくシーンはわくわくが伝わってきてすごく楽しい気分に。
14歳のアウシュヴィッツ ─ 収容所を生き延びた少女の手記
「はじめに」で語られる一文*1にもうすっかり打ちのめされてしまってなかなか本文に手をつけられなかったのだけれど、これってほんとに実話なの?っていうぐらい面白い。登場人物のキャラはめちゃくちゃたっているし、会話文にはユーモアがある。恐慌に陥らない程度の抑制の効いた暴力描写、緊迫と死の濃密な空気。この熱気に満ち溢れた女の子が劣悪な環境でガリガリで常に死の淵にあったなんて!恐れ入る。「アンネの日記」に退屈しちゃった人も、こちらなら難なく読めるはず。

*1:(前略)まさか苦悩を飯の種にする巨大な市場があるのだとはとても考えおよばなかったからかもしれません。