12月12日-12月25日

夢違
恩田さん久々の新作。スリリングで不気味で恩田さんらしい肩透かしもあって、最後はきれいに着地の決まった、楽しい読書だった。ここまでがっつり恋愛物って珍しいかもね。「月の裏側」の頃から時間が流れて、著者も頭の中を手際よく読者に見せるすべを磨いたのだなと感じた。読みやすさと得体のしれない不気味さのバランスをうまくとっている。
(001)憧 (百年文庫)
今年の十月で全巻の発刊が終了した百年文庫。コンセプト・装丁・収録作品*1、どれをとっても心躍るシリーズ。昨年の創刊時にこの一巻を買ったきり一年も放置していたが、今またむくむくと所有欲が持ち上がってきている。
 収録は太宰の「女生徒」,ラディゲの「ドニイズ」,久坂葉子の「幾度目かの最期」。三編とも最後の一文がとても気がきいており爽やかな余韻を残す。そして三編とも若さの輝きが眩しい。